俺が小学2年の頃、もう22、3年以上も昔の話なんだが、小学校のすぐ隣が中学校だった。 
中学校のプールは大きくて深くて、年中水が張りっぱなしで、夏が終わると濁って緑色になる。

ある冬の日、俺はなんとなく中学校のプールを見に行った。 
プールは見事に氷が張っていて、まるでスケートリンクの様で、俺はつい夢中になって氷の上を走ったり滑ったりしてしまった。 

ふと我に返って、足下をみると大きな気泡が氷の下で激しく動き回ってた。 
なんかヤバいなと思った俺はプールサイドめがけて走った。 
しかし氷はバカっと割れて俺は汚い氷水の中へダイブ! 

『やべえ、死ぬのか俺?』

と小学生ながら生命の危機を感じ、あらん限りのパワーを振り絞って叫んだね、「助けて!」って。 

誰かがすぐに先生を呼んでくれて、俺は助かった。 
あと少し救助が遅かったら、俺は水を吸った衣類の重みで、水の底に沈んでいただろう。 
中学校の職員室で全裸にされて毛布を巻かれ、親が呼び出された。

その日はすぐに家に帰ったが、翌日も、またその翌日も、俺がプールに落ちたという話が職員室や親の間で、密かに続いているようだった。 
そんな事件から3年が経ち、高学年に進級した俺はオヤジから衝撃的な話を聞かされた。 

俺が溺れかけた日、そのプールの底から 

”もう一人"発見されたんだそうだ。

水を吸って石の様に重くなったコートやセーターを着た当時の俺より少し小さな男の子が沈んでいたんだって。