うちの爺さんの話。だいたい20年くらい前。 

爺さんが夜中寝ていたところ、外から「ぶぇ…びぇ…」みたいな変な声がした。 
最初は蛙かと思ったが、どうもくぐもった人間の声のようで、 
外国語のような、よくわからない言葉を繰り返してる。 

夜中に人の家の前でうるせぇ、とは思ったが無視していると、呟いてる言葉に 
「ぶぇ…○○○○…び…」と、自分の名前が聞き取れる。 

起き上がると、いつの間にか窓に人影があって、声も間近に聞き取れる。 


爺さんは木刀を持って外に飛び出した。 
すると家の裏に男が立っていて、まだぶつぶつと呟いてる。 
「てめぇ、ひとんちで何してやがる!」と叫ぶと、男は振り向いた。 

男は口中血だらけで、喋るたびにぼとぼとと血が落ちていた。 
口が傷だらけで、だからしゃべり方がおかしく聞こえたらしい。 

さすがに異様な風体に驚いたが、男が逃げ出すでもなくぶつぶついっているので 
爺さんはもう一度「てめぇ、ひとんちで何してやがる!」と叫んだ。 

すると男は、そのときだけははっきりと「ここはお前の家じゃない、お前の墓だ」と答えた。