俺は百貨店の清掃員の仕事をしている。
ある日、店員がすべて帰った後(午前0時)に店内のワックスがけをしていた。
清掃員は五人居て、各フロアに別れて清掃をしている。
その日俺はB1の食料品売場を清掃していた。
1時間ほどマシンワックスをした後、マシンをB2の道具室に帰しに行ったときに、
道具室の鉄扉が勝手に開いた。
「他の清掃員がいるのか?脅かしてやろう!」と思い、その扉に思い切り空き缶を投げ付けた。
『ガーン!』
でかい音が地下二階に響き渡る。俺はいるであろう、その清掃員のビビリ顔を想像し、ワクワクしていた。
が、誰も出てこない。
おかしいな?と思い、道具室を覗いてみた。
道具室は薄暗く、中に誰もいない。
「あれ?たしかに扉が内側から開いたのを見たのに・・・」
と思い、道具室の奥まで行くと、
そこに黄色のチューリップハットを被り、真っ赤なランドセルを背負った女の子が向こうを向いてしゃがんでいた。
一瞬、なんでこんなとこに小学生が・・・と思った。
次の瞬間、その子はスッと立ち上がり、ゆっくりと振り向き始めた。
俺は直観的に『この子を見ちゃダメだ!』と思い、一目散に逃げた。
すぐに他の清掃員を呼び、その事を伝え、再びB2に行ったが、どこにも女の子はいなかった。
恐怖は伝わらないかもだけど、当時の俺はマヂびびった。